目次
第1章 社会民主主義の再生
1 はじめに
2 マルクス主義と四つの論点
3 福祉国家
4 社会民主主義の分岐
5 社会民主主義の再生とマルクス主義
6 社会民主主義から社会主義へ
第2章 生産力の発展
1 はじめに
2 生産力の概念
3 生産量:P1
4 自然制御能力:P3
5 生産性:P2
6 小括
第3章 労働の廃絶
1 マルクス主義的な労働観のアポリア
2 社会発展論における労働と自由時間
3 疎外された労働
4 『資本論』における「労働日の短縮」
5 人間本質としての労働
6 マルクス主義と労働
第4章 所有・労働・生産手段
1 問題の所在
2 所有と労働の定義
3 労働所有論:TL
4 生産手段所有論:TOMP
5 二つの理論の関係
第5章 疎外態としての国家
1 問題の所在
2 疎外国家論
3 階級国家論
4 アナーキズム
5 自由主義国家論
6 小括
第6章 グローバル化
1 反グローバル化運動
2 社会主義への移行についてのマルクスの学説
3 非資本主義的発展の道
4 資本主義の発展としての社会主義
第7章 結論
参考文献
あとがき
事項索引
人名索引
内容説明
ソ連型社会体制の崩壊を経験した現在、先進資本主義国において福祉国家を推進してきた社会民主主義こそがもっとも期待できる社会主義の潮流であり、新自由主義によって縮小された福祉国家を再建することが社会主義の当面の課題である。
しかし、グローバル化と情報化の段階にある今日の資本主義のもとで福祉国家を永続化させることは不可能であり、われわれは再建福祉国家からさらに生産手段を社会的所有にした共産主義社会へと進まねばならない。したがって今日の社会民主主義に求められるのは、マルクス派社会主義へと自らを刷新することなのである。
本書ではこの展望の根拠を、今日の福祉国家が直面する四つの問題、すなわち経済成長か定常状態か、「労働の解放」か「労働からの解放」か、国家の存続か廃絶か、ナショナリズムかコスモポリタニズムかに取り組むことを通じて提示する。